契約時に必要な費用
どの費用をいつまでに支払うか、返金があるか等は賃貸物件と仲介会社、契約形態により異なります
お部屋探しの物件詳細で良く見かける「契約時に必要な費用」とは、敷金、礼金、前家賃、保険料、仲介手数料、手数料、保証金、保証料、預託金等です。
実は、物件や不動産会社、契約形態により、物件に対してどの費用は必要とし、どれを不要とするか、といった設定自体が異なります。同じ性質の費用でも、物件により表記が異なっていることもあり、入居者側からすれは、支払う項目がどんな性格の費用かがわかりにくいものです。
下に挙げるような費用は、通常、不動産契約に前後して支払う金銭です。
敷金:関西以外で多く見られる、大家さんに対する預け金です。物件により性格は異なり、退去時に補修や清掃等の費用を差し引いた後返金されることもある他、礼金のように戻ってこないこともあります。地域や物件の種類により、取り扱いは非常に大きく異なります。家賃0.5〜4カ月分程度です。
礼金:関西以外で多く見られる、大家さんに対する一時金です。家賃0.5〜3カ月分程度ですが、一般的には返却されるものではありません。地域により金額は大きく異なります。また、不動産の契約更新の際に都度、更新料として貸主に対して1〜2か月程度を支払う地域が多いのですが、こちらも礼金とほぼ同じ性質の費用とされており、返却されない費用です。
前家賃:入居した当月や翌月など、自動引き落としや支払い等のサイクルが発生する前の分の家賃として、契約時にあらかじめ支払っておくものです。通常は入居した月の翌月から、1〜3カ月程度を支払うところが一般的です。物件によっては、前家賃支払いではなく、普段の支払いサイクルの指定の支払日に入金されればよいといった相談に乗ってもらえるところもあります。
日割り家賃:入居した月や退去する月の家賃のことです。契約書に特に取り決めがあれば、退去日は毎月の何日と固定されることもあり、退去する月の家賃は満額で請求されることになります。通常単純に毎月の家賃や管理費の日割りとなる事が多く、管理費等の中に月額会費などがある場合は、その部分は月次の満額費用を支払うことが一般的です。日割り家賃以外のこれらの費用に関しては、月次満額の方が日割りにするよりも安いレートが設定されていることもあり、退去精算時には事前に確認しておくとよいでしょう。
保険料:建物が、火事その他の理由で被害に遭った際、カバーするために必要な各種の保険契約の料金です。通常賃貸契約と同じ期間で、賃貸契約の同時に加入が必要です。1つの賃貸物件が被害に遭った時、1保険会社でスムーズに補償や交渉の手続きが行えるようにするため、物件ごとに指定の保険会社の、指定の保険商品以上のものを契約するよう定められているのが一般的です。たとえば火災保険で、借家人賠償責任保険と家財保険、個人賠償責任保険がセットになったものに加入しなければならないといった指定です。物件や保険会社によっては、賃貸契約時に締結する保険の中に、旅行他の携行品関連の保障、事件時の一時金支払いなど、保険契約の際に、個人個人でさまざまなオプションがプラスできるところもあります。また、契約更新時以降は、ほかの保険会社の商品に切り替えても良いといった物件もあります。
仲介手数料:物件を紹介してくれたり、貸主との間にたち様々な手続きを行ってくれた不動産会社に支払う手数料です。不動産会社は1つの賃貸契約に際して、最大で1.1カ月分まで、貸主と借主である入居者双方から0.55カ月と半分ずつ受け取る当方半額というタイプで契約をすることができます。東京などを中心としたエリアでは、当方不払いという借主である入居者が最大で1.1カ月分までを合意のもとに支払うという契約が一般的です。契約時に1回のみですが、ほかに更新の都度、更新事務手数料として0.25〜0.5カ月分程度を支払うところが一般的です。また近年は、不動産オーナーが直接入居者募集を行うことで、仲介手数料不要とするポータルサイトやサービス店なども数多く存在しています。仲介手数料以外の名目で、契約時に諸費用が発生することもある為、事前に確認が必要です。
手数料:下にあるような各種サービス等の設定、使用料など以外のものをまとめて手数料として計上している契約書が多く見られます。契約時に一時的に支払うものから、毎月支払う部分があるものなど、物件や契約書の書式などによっても様々です。
敷引き:関西などで使われる、他地域の敷金とその他費用の内、間違いなく退去時までに各種の費用として使われることで、保証金から差し引かれる部分のこと。関西では不動産契約の保証金や敷金的な位置づけのものは、返却されるかもしれない保証金と、返却される部分があまりない敷引きに分かれます。通常家賃の2〜4か月分程度です。
保証金:関西では、他地区における敷金や、敷金と更新料、その他入居中の経費などをまとめたようなもので、家賃の3か月〜半年分程度。返金されるケースとそうではないものがあります。関西以外では、建物設備利用や入退去時、家賃支払いなどの滞納がみられる際に充当されるものや、収入証明の代わりに用いられるものです。物件により異なり、数万円から百万円以上まで様々。通常返金されるものが多いが、そうではない時もあります。
保証料:家賃保証会社や、指定された金融機関等に審査や保証をお願いする際に支払うものです。契約時に支払うだけのケースから、1年毎や2年毎など定められた期間ごとに支払うものなどがあります。通常返金されないものですが、保証料自体は物件の家賃等によって、家賃の数割とかなり安価に収まることが多いです。
管理費:マンションや町内会に管理組合等があり、修繕積立等以外に会費設定がある場合に別途支払うことがある他、マンションやアパート物件の清掃やその他管理サービスが入っている際に、入居者が毎月徴収されることがあります。月次や年次、契約期間などは物件により異なるが、数百円から数万円で返却されない費用です。
サービス費:警備保障や建物の駆けつけサービス、宅配サービス等が付いている物件で支払う、イニシャルコストや当月利用料、前利用料支払い等です。通常は月次もしくは物件居住中の期間全体に対して課金されるもので、物件の種別や面積、居住者人数他のサービスごとの条件により設定されています。集合住宅で全戸まとめて設定されている場合には、一般よりもかなりリーズナブルな金額のことが多く、ワンルーム集合住宅では契約時数万円程度、新たに一世帯だけ契約するものと比較すると2〜4割程度です。
預託金:物件入居時や物件内の設備(大浴場やジムなど)を利用したい際に預けておく保証金的なものなどが多くみられます。また物件に入居する際に、審査等のほか、収入などに余裕があることを示す意味合いで、預託金制度を設けているところもあります。通常は入居時にまとまって数万円から数百万円程度を預け、退去時に返却されるものが多いようです。
ハウスクリーニング費/清掃費:入居前もしくは退去後に行われる室内の清掃費用や消毒費用です。費用が固定されて契約時に支払われる場合、その金額を越えてハウスクリーニング費として請求される場合はありません。ただし、入居中の生活や使用に問題があると認められた場合、清掃費や補修費や修繕費、修理費などが敷金から引いて返金されるか、さらに足りない分をプラスして請求されることになります。契約時には1〜数十万円請求されるケースがあり、物件にもよります。床が木材や石材等で特殊なワックス剥離とワックスがけなどが必要な物件では、高額になることが多いです。
鍵交換費:入居前もしくは退去後に行われる、ドアノブ周りに設置されているカギと錠前の交換費や設定変更代金です。通常2〜10万円ほどで、入退去のどちらか1度だけ支払うものですが、インテリジェントキーなどで家族複数人分配布を希望したり、錠前ごと交換するケースでは、イニシャルコストがさらに高くなることもあります。カードキーなど、街の鍵屋さんでは鍵複製や発行ができないタイプのものでは、カードの追加発行や再発行では別途料金が発生します。また、物件によっては、鍵交換を行わずにその分費用を安く抑えることができるというケースもあります。
どんなものを対象とし、返金されるか否かなどの細部の内容に関しては、契約前にお部屋探しの際に確認した広告や不動産会社などで、再度しっかり確認しておきましょう。