敷金
契約時に大家さんや管理会社に支払うお金で、退去後に一部引き去られ返却されるものです
敷金とは、賃貸物件等に入居する際、契約諸費用などと共に、大家さんか管理会社に支払うお金です。
毎月必要な家賃、新たに契約する都度必要となる手数料や礼金とは異なり、通常は契約時に1回だけの支払いとなります。家賃2〜6カ月分程度の物件が多く、契約時に必要な金額の大部分はこの敷金が占めています。
契約をした後、入居者は基本的には各物件の契約書に書かれた事項や、建物の管理規約を遵守して日常生活を送ります。ですが万が一、通常の使用では考えられないと思われる汚損や破損が生じた場合や、退去時等に、その分を補う支払いを行ったり、入居可能なお部屋に戻すための工事や特殊な清掃の費用として、入居契約の時に預けておきます。
この工事や特殊な清掃を原状回復、その際にかかる費用を原状回復費用や現状復旧費用、などと呼びます。賃貸物件から退去して数十日程度で残りの金額が相殺され、通常は元入居者への銀行振り込みなどで返却されます。
この敷金の金額、相殺内容に関しては、各不動産管理会社や大家さん、物件を借りる時の条件等によって、大きく設定が異なります。
たとえば、敷金の額については、そのお部屋を住居のほか塾や会社の事務所として併用したいという時は、多数の人が出入りするためキズや汚れが発生しがちです。そこで、通常の住居使用だけの場合なら敷金3か月分のところ、併用なら6カ月分+ハウスクリーニング代も増額、等として契約時に入金をといった流れとなります。
敷金の返却については、通常の一人暮らしの生活だけの目的なら、敷金の内、床の傷などを直す程度の金額が差し引かれて返金されます。ですが、家族向け物件で猫などを飼っており、室内にキズは無くても汚れや臭いが多く残っている場合などは、通常のハウスクリーニングで足りない分を、この敷金から差し引くことがあります。
こういった特別な取り決めは、一般の賃貸借契約と同じで通常契約書内にあらかじめ盛り込まれています。また一般の住宅であれば、通常使用で劣化した窓枠の日焼けや畳のスレなどは、入居者側が現状に戻さなければならない義務は無いとされています。
また、賃貸物件ながら介護保険制度等による住宅改修をしても良い物件や、DIY可能物件では、原状回復費用や現状復旧費用が発生しないものもあります。こういった物件では、建物に色々な工事を行う前に管理会社や大家さんに工事内容を確認してもらい、退去時に一部の工事内容などはそのまま建物に残す、といった契約などが盛り込まれるのが一般的です。
通常、こういった契約の場合、造作買取請求権として入居者が工事した部分について、逆に不動産管理会社や大家さんにお金を請求することはできません。
この敷金の取り扱いについては、契約書等の特約部分によって、取り扱いがかなり大きく異なります。
ですがこれまでは、「賃貸住宅に関しては」国土交通省の原状回復ガイドラインや判例に基づいて、基本的には返還されるものという扱いがされてきました。そして2020年の民法大改正時に、基本的には敷金は家賃滞納等を担保するものであり、必要部分を引き去った残りを返却する性質のものである、と解釈されるようになりました。
事務所等の場合はこれまでの判例で、一般の住宅とは異なり、入居者側が原状回復を行う義務があるとされており、原状回復ガイドラインは適用されません。
そのため契約時に、契約書にしっかりと記載されているかなどの確認をする事が大切です。