屋上緑化
建物の屋根や屋上に植物を植えることで、断熱効果や緑による美しい景観を確保する方法です
屋上緑化(おくじょうりょくか)とは、ビルやマンションやアパート、戸建て住宅など建物の屋根や屋上に植物を植えることで断熱効果や緑による美しい景観を確保する方法です。壁面に植物を植えこむ方法もあり、壁面緑化と呼ばれます。
また壁面に直接植物を植えるほか、建物周りにつる植物や樹木を植えて建物壁面に這わせるようにつるや枝を整形したものを、エスパリエ(樹)やグリーンウォール(蔓、草、樹ほか)と呼び、意味がすこしずつ異なります。
植物による日光の吸収や日陰づくりだけでなく、水やりや土壌内水分や植物からの蒸散効果により植栽部まわりの温度上昇が抑えられる、建材よりも照り返しが少ない、植物設置面と建物側の空気層を生かした断熱遮熱効果などもあります。
これから整備するときには、単に土を入れて植物を設置すれば良いだけではなく、建物構造を破壊しない根張りの植物選定や根域制限、建物耐重量に対応した土や植物選定など、建物構造との関係が非常に重要です。また、降雨時の排水、排水口や雨どいなどに水以外の異物が入り込まないよう設備的にも考慮しなければならない他、雑草などが入り込み周囲のお宅に迷惑をかけないような対策も必要です。
とくに雑草の種や樹木の種を鳥などが持ち込んだ際には、短期間で非常に繁茂してしまい、人の手による除草が追い付かない、周囲で営農する人などのところに種が上から飛び散るといったケースなどもあります。地域の気象条件や植物特性、土壌などもよく理解して、施工ノウハウが豊富なところに事前に相談する方が望ましいでしょう。
屋上緑化は、地球温暖化対策、ヒートアイランド対策などで、大都市中心部などをはじめとして広く目にすることができます。また中国など人口が多く都市部の緑が少ない国でも広く目にすることができます。日本では公的緑化助成の各制度の対象となっていることもあり、建物の大小を問わず広く採用されています。
屋上緑化や屋根緑化などは、メンテナンスの手間がほとんど不要な植物を選ぶのが一般的です。物件によっては果物など果実の収穫をメインとした建物にするなど、非常に凝った設計デザインのものもあります。
後者の場合、設計時に屋上緑化部分に人が安全に出入りしやすい設備を設けておくのが基本です。