室内元栓
ガスや上水道、排水などの流れを室内側設備で開閉するための設備です
室内元栓(しつないもとせん)とは、屋内で使用するために屋外から管などをつかって引き込んでいる設備を、室内側から開閉するための設備です。通常ガスや上水道などは配管がされており、地域の供給網や屋外設備から管を通じて引き込んで使用しています。
地域にもよりますが、トイレからのし尿や、生活排水、敷地内の雨水などをまとめた雨水(うすい)といった系統の排水網が敷設されているところでは、宅内配管と屋外や敷地外配管を接続して使用しています。
基本的にこれらの接続部には、大もととなる元栓があり、敷地端や建物側の屋外などにまとめて設置されています。マンションやアパートの場合、建物自体の外の他、各戸のすぐ外側のメーターボックス内もしくは集合メーター設置場所にこれらの設備があります。
ですが、大掃除や配管のトラブルが屋内側で起きた時、毎回屋外まで出かけていては、被害が大きくなってしまうこともあり、操作も面倒です。そのため、一部の物件では、建物を建設する際に屋内にまとめて、あるいは各戸内の利用箇所に元栓をもう一つ設置しています。
設置には事前にしっかりとした配管等の計画設計が必要なほか、設置することによるガスだまりや逆流、においなどの発生にも配慮しなければならないこともあり、古い物件ではあまり普及してきませんでした。
寒い日の凍上が発生する寒冷地や、豪雨時の冠水が多く発生する地域、急な坂などがあり流量が安定しづらい地域などでは、それでも古くから室内元栓が活用されてきました。
(メーターボックス内や)玄関周りのユーティリティースペースにまとめて設置されている室内元栓以外では、ガスの場合ガス台下の床面に近い位置やガス台下収納の内部に多く設置されています。上水道や生活排水の場合、シンク下などやキッチン脇の床面や収納の奥部。洗面台や風呂場の場合は、脱衣室内や湯沸かし器設置場所周りにまとめて設置されていることがあります。
シンクや洗面ボウルの排水口を止めるタイプのものは、それぞれの設置台直下の比較的高い位置に、上水用の元栓と一緒に設置されていることが一般的です。
トイレの場合、給水タンクの手前に蛇口がある場合はそれを使うほか、水抜き専用のロックボタンが付いた寒冷地用トイレも存在します。便器側は完全に水を抜くことができないため、長期不在時のガスだまりや腐敗によるニオイ、凍結の心配があるときは、蒸発しにくい不凍液などを大量に入れて、配管内の一部を液体に差し替えて液封することで予防します。
凍結防止やガス、匂いの逆流等の防止などでは、各配管のうち最も末端側、最も室内にある側の元栓だけを操作しても意味がないこともあります。
たとえば排水管のニオイや汚水の逆流時などには、まず室内元栓側を操作すれば、途中の屋外にあるガス抜き弁などから空気が抜けるため、大きな被害になるケースはあまり多くありません。この状態でまだ室内から出てくる場合、配管等の不具合も考えられるため、不動産管理会社や専門業者などに確認してもらう必要があります。
ガス漏れの時には、ガス台に接続している元栓を閉め、まだ漏れるようなら室内元栓がある場合そちらを閉めます。それでも漏れる場合は住戸のガス栓を閉め、足りなければ敷地の引込部分のガス栓を閉めます。
ガスの場合、各住戸の設備の不具合だけではなく、ガスが分配されているすべての世帯に関係することもあるため注意が必要です。
上水道の凍結防止などの際には、逆に排水管はすべて開放して、水道蛇口はすべて開けます。そして上水道の引込部にあたる元栓を閉めます。(但、寒冷地などでは、配管に空気入れ蛇口や水抜き栓などがあるため、操作方法は異なります)
逆に上水道の蛇口からの漏れの場合、水道蛇口といった配管の末端側から順に、室内元栓、宅外の元栓、敷地内引込の元栓である止水栓の順で止めていくと、生活に必要な機能は維持しながら、故障個所などを突き止めやすくなります。
徳島県ではあまり関係ないと思われる方もあるかもしれませんが、大雨などによる下水道や排水からの逆流や、上水道やトイレなどの凍結はマイナス4度程度でも起こることもあります。
居住物件のこういった設備や配管、元栓などの使用方法についてわからない場合、不動産管理会社や、水道ガスなどのサービス提供企業の窓口に相談してみるとよいでしょう。