引掛シーリング
天井に照明器具を取り付けるための住宅内差込口です
電気のパーツでいう、シーリングとローゼットは、いずれも天井に照明器具を取り付けるためにすでに天井に取り付けられている、天井面のコンセントのようなものです。
差込口やその周囲のパーツには、いくつかの形状があります。ですが壁面取り付け時の支持構造や耐重量などの関係で、適正なものが変わってきます。照明器具によっては、天井に取り付けられた引掛シーリングやローゼット自体が一定の形状でなければ、その場所には取り付けられないか、取り付けたとしても落下等の可能性があることもあります。
JIS規格では、JIS C 8310(シーリングローゼット)として、ひとくくりの電気の配線用パーツとして規定されています。一方各電気メーカーでは、天井から飛び出たように取り付けることが多いタイプをシーリング、天井に埋め込まれているように取り付けることが多いタイプをローゼット、と商品名で呼び分けているようです。
引掛シーリングボディとは、引掛シーリング各種の形状のことです。例えば、丸型フル引掛シーリング、丸型引掛シーリング、コンセント付き丸型引掛シーリング、フル引掛シーリング、角型引掛シーリング、引掛埋込ローゼット、コンセント付き引掛埋込ローゼットなどがあります。
いずれも、差込口に差し込んでくるっと回すと照明器具が落ちなくなる爪付き構造や、差し込んだ後側面のボタンを押さない限りロックがかかり照明器具が落ちなくなる、電気の供給&照明器具の落下防止を兼ねた天井設備です。この落下防止部分の機能を、「引掛(ひっかけ)」と呼んでいます。
またローゼットを中心に、さらに落下を防止するために、ハンガーと呼ばれる吊り下げ用の金具があります。電気工事士が居れば、後付けできるオプションパーツとして用意されている場合もあります。
これは、ローゼットの爪だけでなく、その外側の爪に鎖などで照明器具をさらに接続することで、落下などを防ぐ目的のものです。
シャンデリアやガラスや金属製など重量のある照明器具では、このハンガーが無ければ取り付けができないものもあります。
また、これらのパーツが整っていても、住宅内の天井照明用シーリングやローゼットの設置位置が弱く、場合によっては取り付けはできても強度が足りなくなることもある為、注意が必要です。
特にシーリングローゼットの差込口に照明器具を取り付ける際に大切なのは、天井から差込口が何センチほど飛び出しているかです。これを出しろ(でしろ)と呼びます。
11と22の物が多く、照明器具で天井面を支持体(=天井の板に直接取り付け)として使用するタイプは、22のタイプの形状では、取り付けられないか、取り付けはできても使用が危険なものもあります。
また、和風の天井やカントリー風、ログハウス風天井などで、梁や飾り板などが天井に渡され、その上にさらに出っ張る形でシーリングやローゼットが取り付けられている場合も、同じように支持体が効かないために取り付けられないか、危険な照明器具が多くあります。
住宅内装で電気工事を行う専門技術者の中にも、これらパーツの呼び分けなどがわからないという人も多いほど、どのタイプが取り付けられているかは、名称だけではわからないものです。
他にも、直接電球を差し込んで使用するソケットや、壁から電線だけが伸びている電線、その取り付け位置にアウトレットボックスという電線から直接有資格者が工事を行うタイプの配線がされているものでは、一般に販売されている天井照明器具はそのまま取り付けることはできません。
ソケットの場合、壁面の通常のコンセントと同じ差込口に変換するセパラボディというパーツなどを使えば、軽量小型の照明器具を直接接続して利用することができます。また、軽量タイプの天井照明器具なら、セパラボディからシーリングアダプターを接続して使用することができる場合もあります。
これ以外の場合、賃貸契約前に、不動産会社や貸主に申し出て、シーリングやローゼットなどに変換してもらう工事を行ってもらっておくよう確認するとよいでしょう。
新居で使用する天井照明器具として持参したもので、とくに重量のあるタイプを使用したい場合は注意が必要ですね。下見の段階、もしくは契約前などに不動産会社や貸主などに依頼して、各室の天井照明取り付け部の写真を撮影してもらい、その周辺のどこに天井野縁や野縁受けがあるか等を確認しておけば、間違いはないでしょう。