いのたに 本店

1999年の新横浜ラーメン博物館への期間限定出展をきっかけに、徳島ラーメンを全国区の知名度に押し上げた、ラーメン好きなら誰もが知っているラーメン屋さん、いのたにの本店です。

創業者は元々製粉会社に勤めていましたが、ラーメンの食べ歩きが趣味で、ラーメンを一生の仕事にすることを目指していました。その後独学で手打ちうどんのお店を開業し、そのかたわらラーメンについて研究、3年ほど試作を続けた後にオリジナルの徳島ラーメンを開発し、満を持していのたにをオープンさせました。

毎日でも食べられる、あっさりしたラーメンを目指してたどり着いたのが、いのたにの看板メニューの中華そばです。煮干しなどでダシをとってうまみを引き出した、深いコクのある独自開発の黒いスープと、モチモチした食感がある自家製細麺が特長です。麺はひとすすりで食べられるように、短めにしてあるそうです。

徳島ラーメン定番のすき焼き風に甘辛く煮たバラ肉と生卵のトッピングもいのたにが発祥です。いのたにの中華そばは今や徳島ラーメンのニューウェーブとなり、徳島のすき焼き風ラーメンとして知られるようになりました。

四国一帯では元々うどん文化が盛んですが、この一大ブームの後押しもあり、徳島県はラーメン文化の方が強くなりました。徳島ラーメンは、徳島に住む地元の方々はもとより、観光で訪れる人々にも人気のご当地ラーメンとなっています。

こちらの本店は徳島駅から歩くこと15分ほど、新町川を越えた眉山のふもとにあります。3つ並んだ小さめのビルのうち、右2軒がお店です。店内に入ると真ん中に券売機があり、左右にコの字型の大きなカウンターが1つずつあるという、シンプルながらも珍しい構造。カウンター内ではたくさんの店員さんがテキパキと気持ちよく立ち働いています。壁には有名人の色紙がズラリと並び、人気の高さを物語っています。

超人気店なので昼時には長い行列ができており、ひっきりなしにお客さんがやってきます。駐車場はお店の前と道路を渡った先の2か所にありますが、ご飯時には混雑するので慣れていない方は避けた方が良いでしょう。

メニューはごくシンプルで中華そばの中盛と大盛、それぞれのサイズに肉入りがあります。追加できるトッピングは煮卵とめんま、サイドメニューはライスのみです。スープの味付けが濃いめなので、トッピングの生卵とサイドメニューのライス(めし)を一緒に注文する方が多いです。麺の固さを選んだり、ネギやもやしを抜いたりすることもできます。

中華そばはリーズナブルなお値段ですが、中盛の場合ボリュームはそこまで多くなく、男性なら腹八分目といったところでしょうか。若い男性であれば、大盛り肉入りの中華そばに生卵をトッピング、さらにライスを加えたボリューミーな注文が鉄板です。小食な方や女性には中盛がちょうど良いサイズ感ですよ。小ライスもありますので、食べ歩きの時でも気軽に食べられますね。

徳島に訪れたら必ず押さえておきたいご当地ラーメン発祥のお店です。老舗の味をぜひご堪能ください。