換気扇/換気口の種類
建物には、共有部専有部ともにさまざまな換気扇や換気口が設置されています
戸建て住宅でも集合住宅でも、あらゆる建物には、屋外屋内に関わらず、人が暮らす空間のほか土台や屋根裏などにも、換気扇(かんきせん)や換気口(換気孔(かんきこう)、通気口、通気孔(つうきこう))が設置されています。
管理会社や建築建設業者でなければ、ほぼ「××の個所の××に取り付けられている換気口」などと表現されるものにも、実は違いがあります。
建物の外側から見て、コンクリートの基礎部や土台側、人の入れない屋根裏などにつながってる角形や丸形で格子やルーバー状となっているものは「換気孔(口)」などと呼ばれています。最近の住宅では「基礎パッキン」と呼ばれ、動物や虫などの侵入を防ぎながら広い面積から換気を行うパーツの使用も増えています。
また、こういった換気口全体にダクトや空気の通り道を張り巡らせ、建物内に設置された換気扇や熱利用での速やかな換気を行う「エアサイクル」や「通気システム」をもった建物もあります。
換気扇として良く知られているものには、台所のコンロ周りの廃棄を行う「換気扇」と換気扇の機能を効率化させるため屋内に設置するカバーである「レンジフード」があります。
これは、屋外とつながっており、直接換気扇が屋外に飛び出ているタイプでは、換気扇裏側のルーバーがスイッチON/OFFで開閉します。排気用のダクトを通す場合には、室外側の壁面にある丸型や角形の「換気口」や「ガラリ」と呼ばれるルーバーや目隠しのついた穴につながっています。
油汚れなどが長くたまり続けると、換気扇側やガラリ側から汚れが出てきたりうまく換気できなくなったり、ON/OFFで開閉ができなくなった、といったトラブルも起こりやすくなります。できるだけ室内側によった位置で、油や湿度などを除去できるような市販フィルタなどを使用するのが良いでしょう。
トイレや風呂場の屋内側から強制排気することで、湿度やにおいを短時間で排出する「換気扇」もあります。屋外側の壁に裏側が直接露出しているタイプの物から、丸型や角形の換気口につながっているタイプなどもあります。
水という比較的重くまとまりやすいものや、軽すぎて周囲の高い位置を漂いやすいニオイのための換気扇ということもあり、発生した割合に比較して、短時間での除去率はあまり高くありません。
風呂場などの水回りでは、窓や風呂場乾燥機、扇風機などを併用した換気をこまめに行う必要があります。トイレでは、匂いの発生源に近い便器内からの消臭排気などを行える器材を併用することで、湿度やにおいの悩みはかなり解決できます。
汲み取り式や簡易水栓式トイレの場合、浄化槽などの設備からでるガスやにおいを排気するための自然排気型や電動型の換気扇が存在します。
匂いが屋内に逆流することが多い場合には、浄化槽の設備にもよりますが、槽側の有機材や消臭剤などをまず利用してみてください。また、浄化槽の排気管である「臭突管(しゅうとつかん)」と呼ばれる地面や住宅基礎部から飛び出ている煙突のような管の長さや、末端換気扇設備を変えるだけでかなり快適に過ごせます。浄化槽側に取り付ける脱臭機なども販売されています。
あまりに宅内全域に特徴的なにおいが広がる場合には、家庭内の汚水を集める配管に間違いや問題がある可能性もあります。大雨時にキッチンや風呂場で水が逆流したりにおいが上がって来る時も同様の可能性があります。
借り手側に原因があることは非常にまれですが、賃貸物件の建物価値にかかわったり今後の大きな事故につながるケースもあるため、見つけ次第管理会社等に相談してみましょう。
窓やドアに取り付けられている、ガラス羽のブラインドのような開閉式タイプのものや、サッシ枠やガラスと同じ素材でできたスライド式で小さな穴がたくさん開いた帯状や角形の窓部分は、いずれも「通気口(孔)や換気口(孔)」と呼ばれています。
また、開口幅を調整できるタイプは「ベントキャップ」と呼ばれています。窓を開けずに、ほんの少しだけ空気を取り入れたいといったときに便利な設備です。
各部屋の壁面などに取り付けられており直接屋外や、隣部屋との間で空気が行き来できる丸形の穴で、中心を押し引きすることで開閉できるものは「レジスター」と呼ばれています。室内外の見た目では、一見角型のタイプも存在します。
さらに、角形でスライドさせたりダイヤルを回すことで開口幅を調整しながら使用する「ベンチレーター」と呼ばれるのものも存在します。換気目的で「ガラリ」や「通気口」を内外で2枚組み合わせたものなども存在します。
同じ仕組みで円形ですが常時開放状態の「ベントキャップ」含め、どちらも強制排気するための羽などをもちませんが、ガラリや一般の通気口、ベントキャップ側では、暑い日や寒い日、降雨時などに開閉ができません。そのため、室内側など開閉して使用したい側にはこの「レジスター」を取り付けるのが本来の姿です。
丸型タイプの穴の場合、このサイズでON/OFFにより強制排気ができる小型換気扇なども各社から販売されており、「パイプ用ファン」などと呼ばれています。電源直結型の他、コンセントタイプも存在します。
物件によっては、常時開いたままで開閉ができないタイプの換気口も存在します。高気密住宅などに多く、気圧や気温の変化によってドアや窓が開かなくなったり、窓が割れるといったことを防ぐためのケースもあります。
現代では、室温や外気温度に応じて、室内側室外側とも自動で開閉してくれるものなども多数存在します。
屋外側の換気口から虫や雨水などが大量に入り込むときには、屋外側に防虫ネットがついたタイプに交換するといった方法もあります。パーツ自体は高くても数千円ほどと比較的安価です。賃貸では、まず管理会社に状況を相談してみるとよいでしょう。
また換気口が足りないという物件の場合、使用されていないクーラー用配管に換気口用パーツを取り付けることで、簡単にパイプ用換気扇などを取り付けることもできます。費用が安く原状回復もしやすく、快適に利用できます。
他に集合住宅物件などでは、窓を開けなくても各戸に外気を取り入れることができる集中換気システムを備えている物件もあります。
これは、室内の空気を内部で冷暖してまた室内に戻して循環させるクーラーとは全く異なるもので、外気を取り入れるための設備です。埋め込み型エアコンに近い室内器材の物や、単に壁面や天井には鉄や樹脂製のルーバーだけが存在するものなどもあります。
このタイプでは、吸排気の有無や強制排気の有無などは、ベースとなっている機材やシステムによって、機能が大きく異なっています。