スロープ
建物玄関や戸室内玄関周り、敷地入口に設けられた、段差のない通路部のことです
スロープとは、建物玄関や戸室内玄関周り、敷地の入り口等を中心に設けられた、段差のない通路部のことです。
手すり付きでなだらかな坂になっているものが多く、傾斜をゆるくするために同じエリアの段差部に比較して、大きく迂回するような通路となっていることが一般的です。
車いす利用者や足の不自由な人には必要な設備でもあり、不特定多数の人が利用する公共の場ではスロープの勾配についての定めもあります。
バリアフリー設計、ユニバーサルデザインといった、誰もが利用しやすくするためのスロープをはじめとする設備が、施設や駅、大型不動産物件などに整備される中、賃貸物件でもスロープの整備が進みました。住宅改修時の補助金交付制度などが長く実施されていることもあり、公共系住宅からはじまり、現在は民間マンションやアパート、戸建てでも広く設置されています。
車いすや歩行補助用カート、杖使用者、乳母車利用者の歩行時や、カートに載せた荷物などを運ぶ際に、非常に便利な設備です。また他にも、引っ越し時、建物にスロープが設置されているかどうかで、引っ越し費用に差がでる場合もあります。
特に車いすやカート、ベビーカーでは、使用している機種によって最小回転半径や、上れる傾斜角度、回転時のシート周りの動作や重心の取り方がかなり異なります。
人の移動にかかわる目的でスロープを使用する際は、安全に侵入できる傾斜や曲がり角の角度が取られているか、雨などで滑りやすくないか、転倒時に誰かに発見されやすい構造となっているか、スロープ面や手すり面に柔らかな素材が使われているか、などがチェックポイントになります。
また、最寄り駅や駐車場から自宅までの間の敷地や道路に見られるスロープでは、交差点や縁石がスムーズに通行できる状態になっているか、などもチェックポイントです。
建物や駐車場のある敷地に面して存在する、スムーズな車の出し入れなどを目的としたスロープは、前後の地形によっては、雨水の流入など思わぬトラブルが起こることもあります。大雨による数十年に一度の被害に備えて、こういった部分もしっかりチェックしておく方が安心でしょう。
他に建物内部で火災などが発生した際に、ベランダやほかの窓扉から屋外に避難するために避難スロープが設置されている物件もあります。勢いをつけて滑る必要があるタイプもあり、お住まいになる方の身体特性によっては、もうすこし使いやすい避難装置があるお部屋を選んだ方がよい場合もあります。
それぞれのスロープを使用する人、そして使用目的に合わせて、あらゆる角度からしっかり物件をチェックしておきたいものです。