バスタブ

毎日の疲れを癒し洗い流してくれるお風呂場のバスタブ、すなわち浴槽には、形状、素材、機能などにより、さまざまな種類があります。それに伴い、それぞれに使用中注意したいポイントも異なっています。

浴槽には、大きく分けると洋風タイプと和風タイプの、2つのタイプがあります。

洋風タイプの形状は、体を横たえて入浴する浅く広い浴槽です。ただし日本の多くの住宅の風呂場は狭いという事情もあり、現在洋風バスタブとして販売されているものの中には、浅く狭いタイプで、シャワー中心の利用を念頭に置いたタイプの製品も存在しています。また深く狭いタイプなどもあり、これは、昔ながらの狭いバストイレ一体型ユニットバス(=3点ユニット)などに多いタイプのバスタブです。

また洋風タイプには、ジャグジーなどの噴出口に対して最適な体制が取れるように、底面が平らではなく、浴槽全体がレーシングカーのシートのような形状をしたものも存在します。

和風タイプの形状で一般的なのは、座って肩までお湯に浸かれる深型の角型タイプです。中には、楕円や丸の木桶型など、昔ながらの情緒あるタイプのバスタブもあります。

またこれらの中間型で、ユニットバスに数多く使われているものが、和洋折衷タイプの、胸辺りまで浸かれるタイプです。

製品として一体成型で売られているバスタブの素材には、ホーロー、ステンレス、FRP素材などの樹脂製のものから、形状含めて施主が好きな形に作れるタイルや人造大理石などがあります。FRP素材でも、工場などによってはオーダーメイドを行っており、ある程度好みの形に作ることができます。

これらに対して、シャワーだけを行うために設置され、水を溜める部分が非常に小さい高さ20センチ程度のものは防水パンと呼ばれます。これの周りに水が飛び散らないように壁をめぐらせたものはシャワーブース、シャワーキャビン、シャワーユニットなどとよ呼んでいます。

バスタブでは、それぞれの素材ごとにメリット・デメリットがあります。

ホーローは、表面がガラスと同じで汚れが付きにくく、お掃除をさぼっていても比較的きれいなものの、打痕などで欠けやすく、浴槽内が若干滑りやすいといった特徴があります。また、古いタイプを中心に、若干お湯の温度が下がりやすいものもあると言われています。

ステンレスは、こすり洗いをしなければ傷がつかずにいつまでも美しく保て、また非常に丈夫なのがメリットです。ですが、お湯の温度が下がりやすいものが多いほか、洗剤や入浴剤によっては変色などを起こしやすく、傷からさびなどが出やすい、貯めてあるお湯の温度が下がりやすい、等の特徴があります。

FRP素材をはじめとする樹脂の中には、さまざまな色やデザインの物が選べるほか、オーダーメイドで好みの形に作ることができるタイプもあります。新しいものを中心に、一定量以上が入っていれば比較的お湯の温度が下がりにくいといわれています。樹脂や成型の種類によっては非常に安価ですが、カビなどが生えやすく、白髪染めや洗剤による変色などが一度できると、二度と元に戻らないこともあるなどの特徴もあります。

この3種の中では、一番頻繁に浴槽自体を取り替えなければならないものの、一度購入すると10年以上は長持ちします。

これ以外のバスタブの素材では、御影石や大理石をはじめとする各種天然石材や、陶磁器タイルなどがあり、現代物件では高級な作り付け設備です。古民家等の中には、風呂場全体が天然石材や陶磁器タイルなどでできているものもあります。いずれも使用可能な洗剤の種類に制約があることもあるため、注意が必要です。

浴槽は、これら素材ごとの特徴に合わせて、日々のお掃除の計画などをしっかり決めて、こまめにケアしておく必要があります。

機能面では、給湯器や風呂釜機能と連動した追い炊きや沸かし湯、入浴中の自動足し湯対応型浴槽といった充実の温度や湯張り機能も存在します。風呂専用機材と連動したジャグジーやジェットバスやバブルバスなど、筋肉の疲れをほぐしたり血行を良くし、毛穴汚れを綺麗にする機能を備えたタイプもあります。

また、ユニバーサルデザインに対応したものも多数販売されています。バスタブに出入りする動作を確実にするためのステップ付や、バスタブ内で体制を変える際に便利な補助用ハンドル付、バスタブ内で寛ぐためのヘッドレストや椅子型の凹凸付のバスタブなど、多数存在しています。

バスタブ内が滑りやすく危険という場合、バスタブ底に置いて使える滑り止めシートなどもあります。これは退去時にもキズを残さず取り外せるため、簡単に使用できて便利です。

バスタブの栓が、レバー開閉タイプであれゴム栓であれ、通常使用の範囲で壊れたり機能しなくなる場合があります。この場合、不動産契約書内の特約で入居者が交換すると書かれていない限りは、不動産管理会社等に連絡して手配してもらうのが良いでしょう。