春日橋
LEDアートで文化を伝承しています。
春日橋は、新町川の中流部に架かる平面の橋で、徳島市藍場町1丁目(北岸)と徳島市西船場町2丁目(南岸)を結んでいます。阿波藍の産業が盛んに行われていた明治時代、春日橋周辺の川の両岸には大きな藍の蔵が軒を連ねていました。白壁と青石の鮮やかなコントラストが川面に映え、風情ある景色が広がっていたのです。
そうした歴史を踏まえ、徳島の伝統工芸である藍染めの文化を継承するという思いを込めて、徳島市がLEDアートを活用した景観整備事業を進めています。これは、アートによる夜景の魅力向上を狙った取り組みで、橋に設置したLED照明によって、美しい藍色の水がまるで自然現象のように橋から新町川の表面へと流れ落ち、ひょうたん島周辺に広がっていくというイメージです。かつて存在していた藍の蔵が、光によって浮かび上がり、滲み出てくるような空間を作り出します。藍の蔵が立ち並ぶ美しい川岸の景色を、光のアートとして継承していくというものです。
18件の応募案の中から、夜景との調和や維持管理のしやすさ、安全性などを考慮して、香港に拠点を持つ設計事務所の「スペイシャル プラクティス」の案が採用されました。「徳島LEDアートフェスティバル2016」のLEDアート作品として製作され、「藍の歴史を新町川に浸透させる」が作品のコンセプトとなっています。
LEDアートは、イベントに合わせて照明の色を変えることもできます。例えば、4月の春の阿波おどりイベント「はなはるフェスタ」の時期には緑、8月の阿波おどりの時期には赤、11月の阿波の狸まつりでは黄色にするといった形です。
近年、徳島市では他の橋でも景観整備を熱心に進めています。橋と水面に映える光の変化によって、街並みの魅力向上につながることが期待されています。