下宿
民家の1部屋に期間を決めて住まわせてもらう事です
下宿とは、自宅からの通学が難しい学生や生徒向け、あるいは一人暮らしの男性向け、また一人暮らしは不安が多いという女性向けなどを中心として、民家の一部の部屋を有料で貸し出して住まわせることです。
お部屋のレイアウトは、大家さんと同じ屋根の下の間借りタイプで、バストイレなどを大家さんや同じ下宿の人が共同で使用するタイプもあれば、離れタイプやワンルームのキッチンなしタイプのものなども存在します。下宿にもよりますが、男女が分かれた建物や分かれたフロアになっているところが多いようです。
ワンルームマンションが広く普及する半世紀ほど前までは、大学や企業の寮に入る以外は、ほぼ下宿に入居することが多いものでした。下宿経営を行っている人は下宿屋さん(げしゅくや)といいます。
建築基準法では、住居用の建物として戸建てタイプのような住宅、マンションアパートなどの共同住宅、大学寮などの寄宿舎、そしてこの下宿の4つを規定しています。
マンション等とは異なり、旅館業法に規定がある宿泊施設です。ですが実体としては、一時的な宿というよりは、個室タイプのホームステイで住所も置けるタイプという感覚かもしれません。
住居としての換気採光や防湿排水等、入浴に支障を来さない設備や立地条件、適当な規模の洗面設備やトイレ等をはじめとした設備がしっかり存在しなければ、下宿として都道府県知事等からの許可が下りません。
通常は、申し込んでおけば食事が提供されたり、お弁当などが用意されたりするところが多く、料理自慢の下宿の中には入館待ちが発生するほどの名物下宿、なども全国各地に存在しています。
大学寮などでは寮長や寮母さんが管理や運営を行う人ですが、下宿の場合は女将さん(おかみさん)や、お母さんやおばさん、お父さんやおじさん等と呼びます。
英語圏にも古くから同じ仕組みがあり、Boarding House(ぼーでぃんぐはうす)と呼ばれています。米国NYなどでは、19世紀に多数増えており、出版物などにも記録があるほどです。
かつては苦学生などを中心として、下宿の掃除や炊事などの業務を手伝うことで、家賃等費用の一部を減免してもらったり、入居者全員が日々の炊事などを手伝うといったところもありました。自宅では家事一切の経験が無いという人が一人暮らしを始めたり、結婚を前に自分の家族以外のさまざまな家事スタイルを知りたい、といった生活の練習や確認を兼ねて下宿に暮らしてみたいという人も多く、人気がありました。
ですが最近は、プライベートやプライバシーを最優先に考える人が増え、下宿の人気が一度下火傾向にありました。その後、人と人とのふれあいや、いつでも両親のように頼れる管理人がいることなどが人気となり、また下宿人気が静かに増えてきています。
近年では、実家を離れて一人暮らしやルームシェアするなど、さまざまな形で家族から離れて生活をすることを指して、「下宿する」という若い世代なども増えています。下宿探しは基本的に、大学の学生課や生協、あるいは電話帳などで下宿屋さんを1件1件あたって探すスタイルとなります。
大学にもよりますが、大学入学時のサークル勧誘などの中に、学生生活お役立ち情報のパンフなどを配っている人たちなどを見かけることがあります。こういった中に、口コミ評判の高い下宿情報などが掲載されていることもあります。
スポーツサークル系ではなく運動部系では、初めから先輩などが指定する下宿に全員がまとめて入居するといったスタイルの所もあります。
ダイエット中の女性やスポーツ系学生等の中には、どうしても食事の味付けや栄養分のバランス、塩分量が合わないといった理由から、短期で下宿を渡り歩いた結果、下宿ジャンキーと呼ばれるようになったケースなども見かけられます。
下宿探しは、こういった先輩情報と、学生課や生協情報のすべてを総合して選ぶ方が、失敗がありません。