店舗向け物件
契約した人が、店舗として利用するための物件です
不動産賃貸で建物がある物件の中には、大まかに分けると住居向け物件(他拠点生活向け含む)、事務所向け物件、店舗向け物件(テナント物件)、工場や倉庫物件等があります。
このうち店舗物件とは、契約した人が店舗、すなわち不特定多数の人が出入りする場所として利用できる賃貸物件であるということです。もちろん賃貸物件と同じ用途で、売買物件もあります。
不動産賃貸契約で物件について使用の目的が分けられているのは、この目的によって建物の傷み方などが異なってきたり、事故や事件などトラブルがあった際に必要な費用、その他のリスクが大きく異なっていることなどがあります。そのため、法律上も契約書上も、さらには火災保険損害保険などの金融商品上も取り扱いが大きく異なり、リスクに応じて負担が高くなっています。
また、契約している物件が住居なのに店舗として営業している等の場合には、管理会社等と相談し用途を変更し再度契約してもらうか、入居者側が契約変更に応じない場合には、用途外利用で退去などさせられることが一般的です。
一般的に、賃貸物件では、建物が傷みにくい>傷みやすいの順でいえば、1:いつも同じ少人数で利用し、靴を脱いできれいに生活する「住居向け物件」2:いつも同じ程度の顔ぶれや人数で利用し、あまり汚れにくい使用目的の「事務所向け物件」3:常に不特定多数の人が利用し、利用者についてすべて人物が特定できるわけではないうえ、靴履きの人が多い「店舗向け物件」4:さまざまな作業で利用する他、荷物など大きなものを出し入れすることが多い「工場や倉庫物件等」となり、物件の利用に際して、これらをカバーするに相当する保険などの加入や、家賃、敷金などが必要となるシステムとなっています。
「営業をする場」としての切り口で見れば、事務所物件と店舗物件では、とある入居者が退去した後に次の入居者が入居するまでの間に、行うさまざまな作業の分量では桁違いの差があります。
たとえば、居抜き物件であってもある程度改装や細部の清掃消毒等を行うことや、配管や壁面構造に至るまで前入居者が改装変更して退去していった後に、法律的にあるいは構造的に問題がない物件となる程度までの回復や修繕を行う等。また、看板等から前入居者の痕跡を消すこと等をはじめ、新入居者募集の前に行う作業がかなり多く発生します。
そのため、同じ条件の物件であれば、個人であれ法人であれ、事務所よりは店舗物件の方が圧倒的に家賃や敷金等が高くなるというのが通常です。
店舗物件では、審査項目が非常に多くなります。まずは入居希望者について、契約する人がすでに法人として営業し、企業としては安定しているか。開業前であれば個人としてはこれまでの営業状態や実績、ソーシャルスコアはどうか、金融機関などが保証してくれるかなど。
また、その営業によるあらゆる面での検討があります。営業する内容や、想定する来客数、営業前に施設にどの程度の変更を加えるか、営業中にどういった汚れやにおいが出るか、建物に対してこの入居者が営業することによって、他の店舗施設や環境、あるいは客層と客の動流にどんな変化が出るかなどを検討し、店舗がその物件に入居して良いかが判断されます。
そのため、どれだけ法人として優れていても、またどれだけオーナーが入居させたいと思っていても、既存で営業している店舗や事務所との兼ね合いがあったり、また近隣商圏や金融機関等との関係で、そこには入居できなかったりといったケースもあります。
もともと店舗進出のためには、様々な商圏調査などを行ったうえで物件を探す方が多いかと思います。
自社の立ち位置や商圏分析以外にも、様々な条件があること。また逆に、自社だけでは審査その他に通らない時には、すでに付き合いのある金融機関や当該近隣商圏〜商店街や商工会、業界団体にお世話になりながら、不動産会社などを通じた物件探しをする方が、入居・営業もスムーズになる事が多いことは念頭に置いておきましょう。