重さの制限
不動産物件はどのくらいの重量まで耐えられるかに関しては、あくまで各物件によって異なります
最近は、断捨離やかたづけなど、余分な物をもたずに暮らすスタイルがブームとなっています。
ですが、大型楽器や書籍、趣味のコレクションなどがなくても、引っ越し荷物はどうしても重くなりがちです。ときおりニュースなどでは、書棚や家具が倒れてきてといった事故の報道も見られます。
こういったニュースを見てふと心配になるのは、「住宅の場合、一体何キロまで、家の中に載せても大丈夫なの?」という部分です。
これについては、「建物の設計者による計算で、どんな重量に耐えられる程度にデザインし、どんな工法や壁床材で施工したか」によって大きく異なるため、一概に「コレだ」とは言えません。
ロフトなど、はしごで上がる設備がある場合、通常の床とは異なる施工を行っている物件もあり、この場合などには、耐荷重が床・はしごの側面などのわかりやすい位置に表示されていることもあります。
分譲物件の場合、購入時に前後して入手できる図面などに、設計数値が記載されていることもあります。ですが、コンクリートや鉄骨鉄筋でどのくらいの重量迄耐えられるかの規格はあっても、住居内各部の小さいエリアに対して、施工と計算上の耐荷重までは書かれていないことが殆どです。
とくに木造物件等一部の小規模物件では、構造計算自体が不要なこともあり、こういった数字自体がもとより存在しないこともあります。
大型マンションなどの場合、しっかりとした構造計算がある程度行われていることもあり、どこにどんな重量物を置きたいということをデベロッパーや建設会社にお願いすると、詳細にデータを出して貰えることもあります。
ここまで曖昧な基準も多く述べましたが、確かなことがあります。それが、「建築基準法」の「積載荷重」による最小値の定めです。
第八十五条(積載荷重)の次表によると、住宅の居室、住宅以外の建築物における寝室又は病室の床の構造計算をする場合には、1平方メートルにつき1800ニュートンです。つまり人や家具などを、1平方メートルあたり180㎏まで載せることができます。180㎏といえば米俵で3つ分、A4コピー用紙なら9箱までとなります。ちなみに成人男性なら2〜3人程度と、関西や北海道では有名な「あの物置にはまだ及ばない程度の荷重までなら」保証されています。
ピアノやウォーターベッドを設置しようというときには、その面積全体に荷重がかならず分散されるわけではありません。ピアノの場合は、脚部の車輪、ウォーターベッドの場合にはフレームの脚などは、3か所程度に分かれています。そのため、その脚が床に接している部分には強い力がかかります。
面積当たりの全体荷重としてはゆとりがある場合でも、建材がその重量に耐えられないといった場合もあるため注意が必要です。
また施工された当時の建築基準法や、その他法律の整備状況によっては、この数値を満たしていないまま築年数が経過している物件などもあります。
ここまでをまとめると、どんな物件でも1メートル四方あたり180㎏のものをびっしりと載せた荷重までは耐えられますが、築古物件では基準を下回る物件のものもあるため、不動産会社などに確認が必要ということです。
徳島では、地震被害などの経験がほぼない物件がほとんどではあります。ですが、地震のほか、台風や洪水などを経験してきた築古物件は、建築当初に比較して住居の要である柱構造がずれていたり、現在の外壁の中にある昔の土壁の形状やバランスが崩れたり、といった可能性があるものもあります。
建物ができた当初は、こういった積載荷重等を満たしていても、現在は全体として十分な強度が保てなかったり、部分的に強度を満たさないか、空洞などにあたってしまい建物の強度に影響を与えかねないものもあります。
こういった物件の賃貸や売買を行う際には、不動産管理会社等の物件のプロや、建築関連のプロなどのアドバイスを求めて、生活のリスクや補修費なども含めての契約交渉に備える方が良いでしょう。