津田寺
阿波狸合戦の総大将六右衛門狸の砦跡
海潮山普門院 津田寺は紀伊水道に面した港町、津田町にある寺院です。津田山麓に位置し、天気の良い日は淡路や沼島、和歌山までもが一望できる津田寺は阿波秩父観音霊場二十六番札所です。
津田寺の宗派は高野山大覚寺派で、御本尊は千手観音菩薩です。境内にある大楠は、徳島市指定保存樹木第8号に指定されていて雄大な姿は、長い歴史を感じます。
津田山の一角には小さな洞窟があり、奥には如意輪観音像が祀られています。「穴観音」と呼ばれるこの観音様は、津田浦の漁師のおかみさんたちが夫の安全を祈願して祀ったと言われています。
この洞窟には、徳島に伝わる物語「阿波狸合戦」にまつわる伝承があります。アニメ映画のモチーフにもなった狸同士の大戦争ですが、この洞窟は狸合戦のメインキャラ「六右衛門狸」の根城だったといわれます。
阿波狸合戦はこんなお話です。
昔々、阿波徳島のおはなし、人間にいじめらていた金長狸をかわいそうに思った茂右衛門という人間が、金長狸を助けてやりました。
金長狸は茂右衛門に感謝して、染物屋だった茂右衛門の店を手伝いました。金長狸には商才があり、茂右衛門の店は大繁盛。茂右衛門も金長狸も楽しい日々を過ごしました。
しかしある日、さらなる高みを目指し、もっとタヌキとしての位を上げたいと思った金長狸は、茂右衛門に別れを告げて、タヌキの総大将のもとに出向きます。タヌキの総大将、それが「六右衛門狸」でした。
六右衛門狸のもとで修業を始めた金長狸はすぐに頭角を現し、六右衛門狸は金長狸をたいそう気に入り、自分の娘と結婚するように申し出ます。
金長狸は、自分を助けてくれた茂右衛門に忠義を誓い、六右衛門狸のもとでの修業が明けたら茂右衛門の店へ戻るつもりだったため、娘との縁談を断り、茂右衛門のもとへ帰ろうとします。
見送る六右衛門でしたが、ふと、自分が育て上げたこのタヌキは、いつか自分にとって脅威になるのではないかと、疑念が生まれます。
六右衛門狸は追っ手を差し向け、金長狸を襲撃しました。金長狸とその一味は応戦し、追っ手は返り討ちに遭いましたが、金長狸の親友である小鷹狸が命を落としました。
これが、小鷹狸の復讐を誓った金長狸と、タヌキの総大将六右衛門狸の意地をかけた、大戦争の幕開けです。勝浦川をはさみ、600匹対600匹のタヌキが三日三晩死闘を繰り広げ、大勢のタヌキが命を落としました。
大勢の犠牲を伴い、総大将六右衛門が倒れ、金長狸は勝利しました。しかしやっとの思いで茂右衛門の店にたどり着いた金長狸も、戦いで負った傷が元となり、息を引き取ったのでした。
この戦争で命を落としたタヌキたちほとんど全員が、英霊となり神格化され、現在も徳島のあちこちの神社で祀られています。六右衛門狸は、砦のあった津田寺に「六右衛門大明神」として祀られており、入学試験の合格祈願にご利益をもたらしてくれています。
交通
- バス停「津田一丁目」
- バス停「津田小橋」
お買い物
- セブン 津田店(スーパー)
- ファミリーマート 徳島津田西町店
- セブンイレブン 徳島津田浜之町店