ハンガードア/吊戸
天井や壁面レールに滑車やドア枠をひっかけて使用する、間仕切り扉や物置扉に多い扉です
ハンガードアとは、日本語では吊戸(つりど)とも呼ばれるもので、文字通りドアがハングされて吊り下げられた状態で開閉する扉の事です。英語のhanger+door からきています。
横開きタイプと、縦開きタイプ、大きく分けて二つのタイプががあります。
横開きタイプは、もともと工場や飛行機などの格納庫、車庫、納屋など、屋外と地面や土間で繋がった部分のドアとして広く利用されてきました。
通常は上側だけにレールがありますが、物件によってはドア下に車輪などを入れて、ドア下レールで更にしっかり支えさせるタイプもあります。どちらのタイプも地面側にはわずかな隙間ができるため、通風が確保されやすいといわれています。
扉を完全に開くと、壁内に格納される物などもありますが、通常は開いた扉と同じ面積以上の壁面が、すぐ横に必要となります。
最近は、一般の住宅でも、車いすなどで全く障害物なく利用する目的や、ロボット掃除機などでの使い勝手の良さもあり、室内扉にハンガードアを採用するところが増えてきました。また、この数年流行のスチームパンクやインダストリアルデザインと特にマッチするため、広くブームとなっています。
縦開きタイプは、蔀戸や上げ下げ窓のように、開ける時には上に吊り上げながら開くタイプのドアです。
サイドにレールがあり、ドアを直接ロープやワイヤーで吊り下げるか、レールから伸びたアームに吊り下げるかなどの違いがあります。このロープやワイヤーを、巻き取ったり緩めたりすることで開閉します。
最近の既製窓には商品がないせいかあまり見かけられませんが、昭和初期など洋館建築が流行った時代や、城郭、忍者屋敷の扉として用いられています。いずれのタイプも、注文木造住宅の中のレトロ物件などを中心に、雨戸としても採用されているタイプです。