ダブル配筋
建物の基礎である床スラブや壁コンクリート内の鉄筋を2本張りめぐらせた状態です
建物の基礎は、地面の中に埋め込んだり地表を覆っているコンクリート部と、そこから立ち上がって柱などを固定したり、外壁として使用されるための壁面コンクリート部の一部などを指しています。
地面側の基礎であるスラブと、壁側の基礎のコンクリートを流し込んで作る土台の中には、鉄筋と呼ばれる折り曲げ可能な細身の金属材(=異形丸棒鉄筋など)が組み合わされています。この碁盤の目のような接点を持つ金属の柱の複合体で、建物を支えています。
このとき、鉄筋を何本ずつ入れるかによって、1本ならシングル配筋、2本ならダブル配筋と呼び分けます。
鉄筋は鉄製であるため錆に弱く、劣化防止のために、強アルカリ素材のコンクリート内に外から一定以上の位置に埋め込まなければならない(=かぶり)規則があります。1組目の配筋と少し離れた同じような位置に、2組目の配筋を行うダブル配筋にする際には、この設計時に一定以上の厚みが必要です。
1枚のコンクリート面の中に碁盤が1枚入っていればシングル配筋、点と線が同じ位置に来るように碁盤が2枚入っていればダブル配筋といいます。それぞれ、点の位置が同じ高さに合うことで、強度がより強くなります。
またこれとは異なり、点と線をマス目半分ずつずらしたような施工方法もあり、千鳥配筋と呼ばれます。ダブル配筋に比較して、若干引張方向の力に弱いものですが、施工上はコンクリート内スペース効率に優れています。
あくまで同じ壁厚同じ材料で比較し、かつ一般的な施工方法なら、シングル配筋よりは千鳥配筋が、さらにはダブル配筋の方が強度は高くなります。
建物設計では、上に載せる柱や壁や屋根材、中に入れる家財、物件によってはより強固な耐震基準などをもとに、その住宅に必要とされる耐力を算出していきます。それをもとに、基礎の厚みや鉄筋の太さや種類と間隔、折り曲げ部の処理方法などが検討され、設計建設されます。
引張や振動などには強くない素材であるコンクリートの構造では、鉄筋を入れることで強度を増すことができるようになり、現代の大型のビルなどの物件建設に繋がりました。ちなみに、よく見かける鉄筋コンクリート造(=RC造)は、英語でReinforced Concrete(=強化されたコンクリート)を表しています。
鉄筋コンクリートの強さは、コンクリート部の容積に対して粘りがある素材の鉄筋を何割程度入れることができるか、で高強度化をはかっています。そのため、ただ単にシングル配筋とダブル配筋を比較しただけでは、振動や地震に強いとは言い難いものがあります。
正しく施工されているケースでは、ダブル配筋であれば、設置するために少なくとも壁は十分に厚い物件であり、壁厚のために周囲の家の騒音や振動が伝わりにくく、居住性に優れるといった特徴はあります。鉄筋コンクリートの強度だけを見たい場合、シングルかダブルかだけではなく、入っている鉄筋の太さや間隔、割合、より太い鉄筋の位置などの方が計算上は重要です。