瑕疵担保責任
2020年改正前民法に存在していた、不動産を売却する側に主に課せられる法定責任です
これまで「瑕疵担保責任」という語は、不動産物件売買において必ず知っておかなければならない言葉でした。
これは、売買等契約時に物件に隠れた、大きく重要な問題点である「瑕疵(かし)」が存在する場合には、元のオーナー側には損害賠償責任や契約自体の解除が認められるというものです。この規定をうけて、さまざまな法や制度が長く存在してきました。
瑕疵は、最高裁判例H220601によると「当該売買契約締結当時の取引観念上、その種類のものとして通常有すべき品質・性能、又は当該売買契約に基づき特別に予定されていた品質・性能を欠くこと」です。
そのため、取引されるものが契約者により特定されていれば、そのものが品質を下回っていても債務不履行に当たらないと考えていたケースもあります。例えば、この中からこれとこれをくださいと求められて、同じ形状の別の個体を差し出すと、それは瑕疵担保ではなく別の法律的な争いとなるといった具合です。
ですが、2020年の民法改正では、近年のさまざまな契約実態や紛争解決等のプロセスと結果を受けて、新たに「契約不適合責任」が定義されました。
新しいこの契約不適合責任においては、引き渡されたものベースで種類や品質、数量等が適合しているかどうかを判断し、これまでよりも契約解除がしやすくなりました。また、かかった修補分の請求、品質などを再評価した結果による代金減額請求などが認められるようになり、他にも建物の所有者変更などの部分で変更があります。
賃貸不動産契約でも、そのベースとなる貸し出される資産は売買される不動産物件です。そのため、法的なリスク等の変更も受けて、今後賃貸借契約の内容自体が変更されてくる可能性もあります。
また2020年民法改正では、賃貸借契約部分にも変更点がありました。敷金返還や、原状回復修繕を明確化した他、建物一部の故障などによる賃料減額、管理会社等に申し出た修繕が行われない場合、自分で修補した後にかかった費用を請求できるなど、さまざまなルールが明確化されています。
大きく変わった賃貸借契約書ですが、民法改正の2020年3月までに交わされた契約書は、改正前民法をベースにした契約書となっています。ですが、次回契約更新等を機に、契約書の内容自体は見直されることになります。
早い物件では、今回の改正に伴って、契約途中で新たに法律に沿った契約書を取り交わしています。基本的には、各物件の不動産管理会社等が必要に応じて、逐次手続きを行っています。