プレハブ
設置場所以外で予めカットや組立を行い、現地で最終組立する建築工法のことです
プレハブとは、不動産や建築用語では、建築物そのものやすべてのパーツを工場などであらかじめカットや加工を行ったり、ある程度組み立てなどを行ってから搬入し、現地で組み立てる、という建築工法のことを指します。英語でいうPre-fabrication=前もってー製造しておくをもとにした短縮型の外来語です。
もともと日本で住宅建築といえば、土台から上物部分に至るまで、すべて現地で削ったりカットを行い、敷地にあわせて細部を調整しながら建てこんでいくのが一般的な工事手法でした。
プレハブ工法は、1920年ごろからドイツ、米国などで、ユニットバスやシステムキッチンなどをはじめとして徐々にプレファブリケーション化が進みました。日本では1940年代から住宅営団の木製パネル式組み立て住宅の試作。1950年代以降には小規模建築物からプレカットタイプの住宅として、大手各住宅メーカーからさまざまな製品が発売されることになりました。
木質系、鉄鋼系、ユニット系、コンクリート系の4つのタイプがあり、あらかじめ敷地や建物の構造強度などをしっかりと採寸設計してから工場内で精密カット、組み立てます。それを現地に持っていき、組み立てるため、材料現地保管と加工に比べると寸法間違いや素材の劣化などの心配が少なく、非常に丈夫な物件が多い事、などのメリットが知られています。
一方で、工場にある加工用器材や運搬方法によって、部材の寸法などが制約を受けてしまうことから、設計施工時の自由度が非常に少ないともいわれています。
昔の世代のプレハブ物件に比べると、すでに1980年代には高級志向のプレハブユニット建築の住宅商品も多く見られるようになりました。現代では、複雑な構造計算も行ってくれるハウスメーカーも多く、設計柔軟性ではすでに在来工法での住宅設計建築と変わらないという説もあります。
ですが一般に日本で広く使われるプレハブといえば、建築現場やイベント用販売店舗などに見られる、トレーラー程度のサイズを中心とした仮設タイプ建物や、仮設トイレなどに見られる鉄板などを組み立てた簡素で小型の仮設建物を表すこともあります。
実は、こちらのほうが昔から市中では広く使われています。持ち運びや組み立て分解が容易な鉄板や柱、扉や窓といったパーツを工場などで加工し、仮設建物用として販売やレンタルしていた時期に、同タイプの各種建物について自然発生的に、また一部では商品名や機能を表す名称として使っていたことに由来します。
さらにはこの仮設建物からの派生で、ビルなどの屋上に設けられている電源や空調、配管などを収めるために鉄板などを組み立てた簡素な建物や、同じような素材から成るコーナーのことを、屋上プレハブなどと呼ぶこともあります。そのため、日本では、プレハブといえば簡素な小型仮設住宅という意味と、本来のプレファブリケーション=プレハブの意味の2つが存在しており、注意が必要です。