委任状
本人の代わりとして特定の手続きを正当に依頼されたことを証明する書面です
委任状とは、不動産契約であれば、契約手続きや書類の記入・訂正・提出、鍵の受け取りなどの申請や行為等について、第三者に代役依頼をした場合に、その申請や行為の相手先に対して、代わりに行為を行う人が示す必要がある書面です。「本来なら自分自身で実行すべき本人」が、なんらかの理由で現地へ足を運べない、遠方在住、指定の期日に都合が合わない、自らだと正しく手続きを行うことが難しいといった場合等が有ります。
委任状は、行為の相手方に対して、その手続きを行う前に提出や提示する必要があります。
この何かを依頼する人=依頼人、依頼者、本人。何かを依頼された人=代理人として委任状には記されていることが多いようです。
役所関係の申請では、定められた幾つかの手続きについては委任によって代理人が行うことができるとしており、手続きにあわせて、役所形式の委任状のフォーマットなどが用意されていることが一般的です。ここに、依頼する本人や依頼された代理人について記入し、所定の身分証明などを添付して手続きを行います。
本人を表す関係が複雑なケース、たとえば一定の行為を行うことに対して個別に法的な代理人が定められているケースなどは、委任状として提出する手続きも複雑になることもしばしばです。
通常の不動産契約などの際の委任状では、書面は契約者本人が作成、押印し、書面に記載された第三者に記載された事項を正式に依頼した事を証明します。
法律上の定めがある物や、官公庁が関連するもの等を除けば、委任状の書式においては、本人と代理人を特定するための氏名住所、生年月日などが必要です。場合によっては、細かな委任事項の取り決めを除いては、定めはほぼありません。ですが、事前に不動産業者に記載必要事項を確認しておくと、手続きがスムーズです。
また、委任状を作成する本人からすれば、委任状1通で本人が想定していない、ありとあらゆる売買や登記の移転などが行われる可能性が無いとは言えません。そのため、現在では、官公庁を中心に委任事項について「私の戸籍抄本の交付請求について、次の者に委任します」のようにしっかり制限を記載していない限り、委任状として受理できないとする官公庁や企業等も多いようです。
もし「相続等についての一切の権限を次代理人に委任します」や「本売買契約書の訂正についての一切を次の者に委任します」といった委任状が有効だとされてしまえば、財産や身分の変更手続き、所有権の変動などを含めた契約、その他の法律行為の本体自体が、予想をはるかに超えた範囲で行われ兼ねない不安もあります。
委任状に関しては、官公庁や企業での指定フォーマットがあれば、基本はそれに従って作成すると安心でしょう。また、その形式に疑問や不安があるようなら、法律の専門家や提出先に確認しておく方が安心でしょう。